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TAX NOTES

一人法人に税理士は必要?
費用と依頼するタイミングを小規模法人向けに解説

本記事の制度・公式情報の確認日:2026年10月27日。税務上の取扱いは、対象の事業年度・取引内容・届出状況等により異なります。

「社長は自分一人。税理士を頼むほど取引も多くないのでは」「会計ソフトを使えば、決算も自分でできるのでは」と考える方は少なくありません。

一人法人だからといって、税理士との契約が法律上義務付けられているわけではありません。 自社の申告を自分で行うことは可能です。ただし、「記帳できること」と「法人税等の申告を期限内に完了できること」は別です。この記事では、一人社長が自力で行える作業、専門家へ依頼する判断基準、年額費用の見方、相談するタイミングを整理します。

目次

一人法人の申告義務

一人法人とは、社長一人で事業を営む株式会社や合同会社などを指す一般的な呼び方です。従業員がいないことを理由に、法人税等の申告が不要になる制度ではありません。

法人税の確定申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。たとえば3月31日決算なら、原則5月31日が期限となります。休日等に当たる場合の扱いや、承認を受けた申告期限延長の特例など、個別の条件には注意してください。申告書の提出だけでなく、必要な税金の納付も別途確認します。

自社の申告を社長自身が行うのと、他人から依頼を受けて税務代理・税務書類作成・税務相談を業として行うことは区別されます。後者は税理士法上の税理士業務に当たり、原則として税理士等の有資格者が行う領域です。

したがって判断すべきなのは「一人だから税理士が要るか」ではなく、自社の取引内容と申告作業を、誰がどこまで担当できるかです。

自社でできる作業と税務判断

法人の経理と申告は、少なくとも次の工程に分けて考えると整理しやすくなります。

工程 自社で取り組みやすい作業 判断・確認が必要な点
日々の記帳 請求書・領収書の整理、入出金の登録 売上計上時期、経費と私的支出の区別、税区分
月末の確認 預金・カード・売掛金の残高照合 未決済取引、二重計上、処理漏れの訂正
決算整理 棚卸資料、借入明細、期末残高の準備 減価償却、未払・前払、税務上の調整
税務申告 必要資料の収集、申告内容の確認 法人税等の申告書、消費税申告の要否、適用制度の判定
申告後 納付確認、帳簿・証憑の保存 次期の期首残高、届出内容の継続管理

会計ソフトに預金明細が自動連携されても、正しい勘定科目や税区分まで無条件に確定するわけではありません。また、決算書と法人税申告書は同じ書類ではありません。会計上の利益から、税務上必要な調整を行う場合もあります。

一人社長の主な見落とし

役員と会社のお金が混ざっている場合。 個人カードで会社の経費を立て替えた、会社口座から私的支出をしたなど、入出金の理由を追える状態にする必要があります。単に通帳残高が一致しているだけでは、取引の内容まで説明できるとは限りません。

役員報酬や源泉所得税の処理がある場合。 従業員がいなくても、役員への給与を支給していれば、給与に関する税務・手続きが生じ得ます。報酬額の決め方や変更時期によって法人税上の扱いが異なることもあるため、単純な入金・出金処理で済ませないようにしましょう。

消費税の判定が必要な場合。 売上規模だけでは決まらない場合があり、インボイス登録や届出・選択した課税方式などの確認が必要です。「売上が少ないから消費税申告は絶対に不要」と一律には判断できません。

まず5問で判断|税理士に依頼すべきかの目安

次の質問は法律上の義務判定ではなく、一人社長が税理士に任せる部分があるかを考えるための実務上の目安です。

質問 「いいえ」「分からない」の場合に確認すること
1. 法人税・地方税の申告書を作成・提出できるか 決算書の出力と申告書の作成を区別できているか
2. 帳簿と通帳・売掛金・借入金の期末残高を照合できるか 申告前に数字の根拠を説明できるか
3. 役員報酬と会社・社長個人の資金移動を説明できるか 損金算入や源泉所得税等の取扱いに不明点はないか
4. 消費税の課税事業者判定と届出状況を確認できるか インボイス登録等を把握できているか
5. 申告期限までに入力・決算整理・申告を終えられるか 調べる時間と確認する担当者が確保できているか

「いいえ」が1つでもあれば必ず税理士契約が必要、という意味ではありません。 不明な項目だけを確認するのか、年間を通じて税務顧問・決算申告を依頼するのかを分けて検討します。特に申告の担当者がいない、税務上の判断が残る、期限まで時間がない場合は、早めに受任の可否を確認する判断材料になります。

自力申告と税理士への依頼を比較する

税理士を付けるかどうかは、年間の取引件数だけでなく、税務判断の難しさ、申告までに使える時間、誤りを自分で検出できるかを合わせて検討します。

比較項目 自力で記帳・申告する 記帳は自社、決算申告は税理士に依頼する 記帳から税理士に依頼する
日々の入力 自社 自社 依頼範囲に応じて外部
決算整理・税務申告 自社 契約した業務範囲を税理士 契約した業務範囲を税理士
現金支出 ソフト利用料など 税理士費用とソフト利用料など 税理士費用と追加業務費など
自社に残る仕事 記帳・照合・申告まで 入力・資料準備・質問への回答 証憑整理・資料提出・質問への回答
向いている状態 税務申告を調べ、検算する時間がある 日々の入力はできるが申告判断を任せたい 入力や月次整理の負担が大きい

「自力か、全部外注か」の二択ではありません。 自社で会計ソフトへの入力を続けながら、税理士に月次確認と決算申告を依頼する方法もあります。

なお、税理士に依頼しても請求書の発行、取引内容の説明、納税資金の準備まで自動的に完了するわけではありません。契約時に、どこまでが依頼範囲かを確認することが欠かせません。

税理士費用の例

費用は「税務顧問と決算申告を年間で依頼するのか」「記帳代行を含めるのか」「消費税申告が必要か」で変わります。税理士を利用するかどうかの判断では、月額だけでなく、決算申告・追加業務を含む年間の支払額を比較してください。

当事務所の公表料金では、年商500万円以下の法人が自社記帳を行うPLAN 01は、月額20,500円(税抜)です。12か月利用時の参考費用は20,500円×12か月=246,000円(税抜)で、税務顧問・法人決算申告が含まれます。最低契約期間を設けない月額料金制で、12か月費用は利用期間を義務付けるものではありません。残期間分の料金や解約違約金はありません。ただし、初回決算までの契約期間が6か月未満の場合に限り、決算申告込みの報酬を個別に精算します。金額・条件は契約前にご案内します。

これは当事務所の料金を使った具体例であり、税理士費用の全国相場ではありません。会計ソフト利用料、消費税申告料、記帳代行等の追加業務は別途です。記帳を外注する場合の料金差や、削減できる社内作業時間は別の比較軸になるため、ここでは扱いません。

契約前には次の4点を同じ条件で比較しましょう。

確認項目 比較するときの質問
年額 決算申告料は基本料金に含まれるか
税目 法人税・地方税・消費税のどこまでが含まれるか
自社の担当 記帳・資料整理・納税はどこまで自社で行うか
契約条件 最低契約期間・期中開始・初回決算までの期間による精算はどうなるか

会社の年商や依頼業務を当てはめた料金は、公式ページで確認できます。

合わせて読みたい:法人の税理士費用・料金シミュレーター

依頼する4つの時期

1. 会社設立前後:役員報酬・記帳方法・届出を決めるとき

設立前後は、会計ソフトの設定、会社と個人の資金の分離、役員報酬、法人税・消費税に関する届出など、後から確認し直す手間が大きい論点があります。設立前に税理士との契約が必須という意味ではありませんが、不明点が多い場合は早い段階で相談先を検討すると判断材料を得やすくなります。

2. 取引が増えたとき:記帳と営業の時間が競合し始める

毎月の領収書が少なくても、借入金、固定資産、未決済売上、個人立替などが多ければ確認時間が増えます。「仕訳件数は少ないから簡単」とは限りません。まず1か月の記帳時間を記録し、何が時間を使っているのかを分けてみましょう。

3. 決算が近づいたとき:帳簿と資料に未整理がある

決算前に、通帳残高と帳簿残高、未入金の請求書、未払いの経費、借入金残高、固定資産を確認します。未処理が多い場合は申告作業だけでなく、その前の帳簿修正に時間を要します。相談時には決算月、入力が終わっている月、未整理の件数を伝えると、依頼先が受任可否を判断しやすくなります。

4. 申告後:次期の運用を改善

今期は自力で申告したが、納税額の計算や電子申告に時間がかかった場合、次期から自社記帳と税理士確認を組み合わせる選択肢があります。すでに申告した内容の誤りが疑われるときは、次年度の顧問契約とは別に、対象期の確認と必要な手続きを検討します。

税理士に相談する前の確認チェックリスト

次の事項が分かる範囲で整理できれば、相談先との認識違いを減らせます。

  • ☐ 法人の種類、設立日、決算月
  • ☐ 直近または見込みの年間売上高
  • ☐ 利用中の会計ソフトと記帳が終わっている月
  • ☐ 月間の仕訳件数のおおよその規模
  • ☐ 役員報酬の支給状況、消費税・インボイス登録の状況
  • ☐ 依頼したい範囲(自社記帳・決算申告・記帳代行など)
  • ☐ 次回の法人税等の申告期限

よくある質問

Q1. 赤字の一人法人でも税理士を依頼したほうがよいですか?

赤字であることだけで税理士契約の要否は決まりません。赤字でも法人としての申告や帳簿保存の対応は必要です。取引が単純で社内に申告できる体制があれば自力対応は可能ですが、繰越欠損金など将来の申告へ影響する項目がある場合は、税務上の扱いを確認する意義があります。

Q2. 役員報酬を支給していない一人法人も申告が必要ですか?

役員報酬の有無だけで法人税等の申告義務はなくなりません。法人としての決算・申告の要否を確認する必要があります。役員報酬を支給する場合は、さらに給与に関する源泉徴収等や役員給与の税務上の取扱いを検討します。

Q3. 決算直前でも依頼可能?

決算直前の受任可否や、単発での対応は税理士事務所ごとに異なります。当事務所は税務顧問・法人決算申告を基本とする月額料金制です。期中開始や決算直前のご依頼は、資料の状況と対応可能な期間を確認したうえで判断します。

まとめ|分担を決める

一人法人に税理士契約の法的義務があるわけではありません。しかし、記帳件数の少なさだけで申告の難しさは決まりません。自分で日々の入力ができるなら決算申告を中心に依頼する方法があり、記帳負担が大きければ記帳代行を含めた比較ができます。

鷲見公認会計士税理士事務所では、年商3,000万円以下を目安とする小規模法人の税務顧問・法人決算申告に対応しています。「申告を自力で完了できるか」「いつから税理士に任せたいか」を整理したうえで、対応範囲と契約条件をご確認ください。

一人法人向けの対応内容は、一人法人・マイクロ法人の税務顧問をご覧ください。

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出典・参考資料

SUMI CPA & TAX OFFICE

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断は、取引内容や事実関係の確認が必要です。

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